5月初旬に開かれた2日間の「マスター」リーダーシップ会議で、元米海軍特殊部隊の指揮官ジョッコ・ウィリンクとリーフ・ベイビンは、戦場での経験がマネジャーにとって、チームとの単純な関係性を見直す助けになると説明した。
ウィリンクは、イラク戦争で最も多くの勲章を受けた特殊作戦部隊、タスクユニット・ブルーザーの指揮官を務め、ベイビンは同部隊の2人の小隊指揮官のうち上級の指揮官として副指揮官を務めた。2人は2010年にリーダーシップ・コンサルティング会社、エシュロン・フロントを設立し、2015年に出版した著書『エクストリーム・オーナーシップ』はニューヨーク・タイムズ紙のベストセラーとなった。
彼らは436人の聴衆に対し、最近、責任と規律に関する彼らの教えをよく理解している顧客の幹部と仕事をしていた際、その幹部の部下が部屋に入ってきたと語った。従業員はプロジェクトの進め方について質問し、幹部が答えると、そのまま部屋を出ていった。ベイビンによると、2人は顔を見合わせて微笑んだ。優秀な教え子にも、まだ弱点があると分かったからだ。
「簡単に答えを教えてはいけない!」とウィリンクは言った。仕事について質問するたびに、チームのメンバーが解決策の案、あるいはその断片でも提示するよう訓練するのは、リーダーの役割だと説明した。そうすればリーダーは、それを話し合いの出発点にできる。
これは計画を立てる際にも当てはまる。ウィリンクは、イラクで部下と計画を立てていたとき、自分の判断のほうが実際に優れている可能性がわずかに高い程度なら、決定を部下に委ねていたと語った。
権限を持つ立場から、自分の計画が部下の案より明らかに優れていると分かっていれば、その理由を説明し、新たな計画を一緒に練り続けられるようにした。部下に危険を招く計画を立てさせていたという意味ではない。要点は、部下が自分の仕事に責任を持てるよう、リーダーは些細なことを譲る姿勢を持つべきだということだ。
ウィリンクによれば、あなたが押しつけた計画で部下が問題に直面すれば、その部下は困難の責任をあなたに押しつけ、建設的に対応する準備ができにくくなる。一方、自分で立てた計画に問題が生じたなら、自分自身に説明責任を負うことになる。
質問をした従業員にすぐ指示を出した幹部の話に戻り、元特殊部隊員の2人は、予期せぬ課題に直面した際にチームを意思決定に参加させれば、メンバーが受け身になるのを防げるだけでなく、仕事への当事者意識を持たせられると説明した。なぜその仕事をするのかを理解できるため、課題を成功裏に終えられる可能性も高まる。
この2つの要点を結びつけ、ベイビンは会議の後半で、チームに新たに導入したい関係性を伝えるだけでは、望む結果は得られないと説明した。「大切なのは何を説くかではなく、何を許容するかだ」と彼は語った。


